Q . 遺言執行者の指定は誰が良いか?
信頼できて人望の厚い人が理想です
遺言があるとはいえ、内容に不満を持つ人がいる場合などは、遺言に沿った手続きを遂行するのは思いのほか負担が大きいものです。このため、誰を遺言執行者に指定するかについては、遺言者が信頼できる人であることの他に、権限を振りかざさずとも相手の理解を得る力量があり、精神的にも強い人が理想になります。事務手続きが苦にならないことも意外と大切です。
場合によっては粛々と
そのような人物が親族にいれば良いのですが、そうとばかりは言えません。どうしても協力してくれない人がいる場合は、権限によって粛々と手続きを進めることになり、せっかく遺言を作ったのに親族間に溝を作ってしまうかもしれません。
専門家の活用
このような事態を避ける手段のひとつが、遺言執行者に専門家を指定する方法です。特に、遺言作成に関わった専門家を指定することが多くなっています。実は遺言で執行者を指定してあっても、最終的にその人が就任を承諾するかは別問題、拒否することも出来ます。しかし、作成に関わった専門家が執行者に指定されている場合、就任契約が成立していると考えられますから、正当な事由がない限り拒否することはありえません。
補助者についても明記しておく
遺言執行は思いのほか負担が大きい、と述べましたが、遺言中にぜひ追加しておいて欲しいのが補助者についての記載です。例えばこんな感じで。
遺言執行者は、第三者にその任務を行わせることができる
この一文がなくても補助者に事務を手伝ってもらうことは遺言執行者の責任で一応出来るのですが、金融機関などで拒否され手続きが大幅に遅れてしまうことが多いのです。どちらにしても遺言執行者が責任を持ちますので、実務上はぜひ加えておいて頂きたい条項です。
報酬も遺言で指定してしまう
専門家を遺言執行者に指定する場合は、その報酬も遺言で指定しておくほうが、遺言内容の迅速な遂行にとってプラスになります。専門家は料金規定に従って見積もりを提示しますが、遺言者は相続人の身になり納得できる報酬額かを吟味してください。その上で、遺言文案に記載すればよいでしょう。
遺言執行者は2人?
これは専門家の間ではポピュラーな手法です。指定した遺言執行者が万一亡くなっていた場合には、誰かが代わりに就任することはありません。遺言執行者は指定されていない扱いとなり、相続人が共同で手続きをするか、家庭裁判所に選任してもらうしか無くなります。こういった事態を避けるために次のような条項を加えます。
1.下記Aを遺言執行者に指定する
2.ただしAが何らかの理由で遺言執行者になれない場合は、Bを遺言執行者に指定する
(A、Bの記載)
あるいは
1.下記A、Bの2名を遺言執行者に指定する
2.遺言執行者は、各自単独で任務を遂行することができる
(A、Bの記載)
※2番目の条項はとても大切です。これが無いと2人両方の署名や印鑑証明が要求されてしまい、かえって事務執行が遅れ逆効果になってしまいます。それから上述の補助者についての条項も忘れずにお願いします。執行者を2名にすることと、補助者に任せられることとは別の話なので。
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