遺言はぜひ、元気なときに!!
万一のとき、残されるご家族が
直面するかもしれない経済的なリスクを、もっとも効果的に回避できるのが遺言です。遺言があったために遺族が住む家を手放さずに済んだ、争いを未然に、または最小限に抑えられたという話を良く聞きますが、一方で遺言が無かったために複雑な手続や遺産分割の話し合いで大変な苦労をしている遺族が数多くいらっしゃるのも事実です。
「ウチは争うほど財産多くないから」
確かに、家庭裁判所に調停が申し立てられる割合は相続税非課税(平成25年の資料なので5000万未満)の相続では0.56%となっており、178件に1件の割合に過ぎません(5000万以上だと4.2%、24件に1件の割合になっています)。しかし一方で、全相続127万件に対し相続放棄が17万件以上ある点も見逃せません。約7件に1件の割合です。相続放棄はトラブルを回避するために選ぶ人が相当数含まれるので、調停に至らずともトラブルになっている相続が多いことを表していると言えるでしょう。
また遺言は争いを防ぐほかに、相続手続を簡便にしてくれるメリットもあります。特に銀行口座や不動産の名義変更において迅速に手続きができ、生活や事業への影響を最小限にとどめる事ができるのです。
認知症になってからだと難しい
しかし、遺言は財産に関する強力な法的拘束力を持つ書面ですから、もし認知症などで遺言の内容を理解する能力に疑いが出てくると、事実上、遺言を作るのは難しくなります。法律の文面で明確に禁止されているわけではなく、また後見開始の審判を受けている方の場合は医師2名以上の立会で作れるとの規定もあります。しかし実際は、認知症になってから作成された遺言の効力が裁判で争われることも少なくなく、弁護士が作成に関与した公正証書遺言でさえ無効とされたこともあります。長谷川式テストの点数を証拠として残す等、対策を講じて作成することはできます。ただし、遺言内容を争われる危険は高まることになりますので、そのような状態になる前に遺言作成するのが最善です。
遺言作成は今年のうちに?
遺言というと、つい「遺書」が連想されて敬遠されがちです。でも遺言は、「遺書」のように死を目前にした気持ちを綴るものではありません。あくまでも「財産はこのように分けなさい。家族兄妹仲良くするように。」というメッセージであり、万一のときに残された家族が困らないようにする思いやりのメッセージなのです。ぜひそうした前向き・未来志向で遺言を捉えていただき、心身とも健康なときに、遺言の作成を検討してみてください。
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