『とりあえず遺言』のすすめ
絶対お勧めの『とりあえず遺言』
詳細で正確な遺言を作ろうとすると、次節「遺言作成の流れ」で述べるように結構面倒です。遺言やエンディングノートのセミナーに参加するほど意識の高い方でも実際に遺言を作ったという方は意外と少なかったりします。手続き的にも心理的にも遺言作成のハードルが高いことが伺えます。こちらでは、そんなハードルをぐっと下げる遺言作成を、未成年のお子さんがいるご夫婦を例にご紹介します!
未成年のお子さんがいるご夫婦の相続
未成年のお子さんがいるごく普通のご家庭で、不幸にして旦那さんが亡くなってしまった場合を考えてみます。相続人は奥さんとお子さん。生活費は旦那さん名義の預金口座に入っていますが、名義人の死亡により口座は凍結されてしまいました。この場合、凍結解除の手続きをするためには未成年のお子さんのために特別代理人の選任を家庭裁判所にお願いしなければなりません。ただでさえ面倒な金融機関の手続きに上乗せされた負担が奥さんにかかり、凍結解除までの時間も長くなってしまいます。
とても簡単、遺言文例
でも旦那さんが下記の文例で遺言を用意していれば、そんな負担を回避できます。
遺 言 書
1.全財産を妻である本宮一子に相続させる
2.遺言執行者として妻である本宮一子を指定する
平成○○年○○月○○日
本宮イチロウ 印
これだけです(名前と日付は変えて下さいね)!
注意点は
- 今回は費用をかけず自筆証書遺言にしますので、必ず全文を直筆で書いてください
- 日付と名前と押印は忘れずに。押印は認印でOKですが、実印で印鑑証明書を同封しておけば更に安心です
- 消せないボールペンなどで書いてください。消せるボールペンや鉛筆はダメです
- 書き間違えたら修正せず、全文書き直したほうが確実です
そして、もし不幸にして万一のことが起きてしまったら、
- 亡くなられた旦那さんの出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本
- 奥さんとお子さんの戸籍謄本
を用意します。用意できたら
- 遺言書と戸籍一式を一緒に家庭裁判所に持参し、検認を受けます。その際、戸籍は原本還付手続きもします
検認が完了した遺言と奥さんの印鑑証明書、裁判所に提出した戸籍一式を持って金融機関で凍結解除手続きをします。
【その他の注意点】
- 通常は封をして保管するのですが、奥さんの便宜のための遺言ですから封をしないでも良いでしょう。下手に封をすると、検認前に誤って開封したときに罰金になることがあります。クリアケースなどに入れて金庫等に保管します(旦那さん名義の貸金庫はダメです!)
- 奥さんが亡くなった場合の遺言書を作るのも良いでしょう。ただし必ず別個に作成してください。同じ紙に二人分書いてしまうと無効になってしまいます
- 自筆証書遺言ですので検認に1ヵ月前後かかります。余裕を見て3ヶ月程度の生活費は奥さん名義の口座に貯蓄しておいてください
今回は未成年のお子さんがいるご夫婦を例に簡単な文例を紹介しましたが、他のケースでも様々に応用できます。無料相談会などでアドバイスをもらったりしながら、ぜひ「とりあえず遺言」を作ってみてください!実際に作ってみると「縁起でもない」という感覚よりも「家族のために備えができた」という安心感が得られるでしょう。
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