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Q . 遺言文案の作成で気をつけることは何ですか?

せっかく無用な争いを避けられるよう遺言を作成したのに、遺言者が亡くなり、いざ相続、となったときに揉め事になってしまうこともあります。公正証書遺言の場合は公証人が最終的に遺言を作成してくれるので、無効になるようなことは滅多にありません。しかし個々の事情に踏み込んでまでアドバイスしてくれるわけではないので、争いを避けて遺言内容が確実に実現されるためには、遺言文案に二重三重の対策を組み込んでいくことになります。以下に幾つかを紹介します。

 

財産を受け取る人、財産の内容は明確に書き表す

一番の基本事項として、誰に、何を遺贈・相続させるかが、曖昧さなく表現されていなければなりません。そのためには下記のような点に注意します。

  • 不動産は登記簿を確認して「不動産の表記」を書き写す
  • 財産を受け取る人は住民票等を確認して、生年月日を括弧書きで併記する

誤って記載すると逆効果になるので、慎重に確認してください。

 

他の遺言との関係を明確にする

遺言を複数作った場合(練習を兼ねて自筆証書遺言を作る場合なども含みます)、新しい遺言に書かれていない事項については古い遺言の効力が残ります。テクニックとして基本用の遺言と更新用の遺言を作り分けることもありますが、そうでなければ手続きの煩雑さや混乱を避けるため、古い遺言を無効にしておくほうが安全です。具体的には下記のような文言を第1条に加えます。

遺言者は、過去に作成した遺言を全て撤回し、改めて以下の通り遺言する

 

予備的遺言

遺言で指定した財産の受取人が、遺言者より先に亡くなってしまうことがあります。この場合、財産を受け取るはずだった人が赤の他人でも、正式な相続人の一人であっても、その人に対する遺言の効力は失われてしまいます。通常の相続のように代襲はされません。そして宙ぶらりんになった財産は、通常の遺産分割協議によって誰が相続するか決めることになります。
こうなってしまうと遺言内容に不満を持っていた人がいる場合は特に、協議が紛糾しかねません。そういった事態を避けるために、次のような文言を加えます(これを「予備的遺言」といいます)。

下記不動産を長男Aに相続させる。ただしAが私の死亡より先に亡くなっていた場合は、Aの子Bに相続させる

 

宙ぶらりんの財産を残さない

上記と同じ理由により、遺言で帰属が指定されない財産が残らないよう、下記のような文言を使います。

この遺言に記載のない財産は全て、妻Bに相続させる

 

遺言執行者の指定

遺言書があることで財産の名義変更手続きが迅速に行える訳なのですが、現実には一筋縄にはいきません。遺言に強制力があるといっても、内容に不満のある人が協力的になるとは限らないからです。

 

この対策として行われるのが遺言執行者の指定です。たとえば長男Aを遺言執行者に指定すると、遺言内容が気に入らない次男Bが協力しなくても銀行口座の名義変更や不動産の遺贈登記は長男Aだけで出来るようになります。次男Bが遺言執行者である長男Aの妨害をすることは法律で禁止され、もし次男Bが勝手に財産を処分しても無効となります。遺言執行者の任務は精神的負担も大きいのですが、指定されることで長男Aは遺言どおりに手続きを進めるための法的な後ろ盾を得られるのです。

 

遺言執行者を弁護士や行政書士、司法書士といった専門家に頼み、遺言で指定することもできます。この場合は遺言作成に関与した専門家を指定することが多く、また適当と思われます。遺言で指定されていない場合は相続人が家庭裁判所に請求することで遺言執行者を決めることも出来ます。

 

 

 



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